Spiral Fiction Note’s diary

物書き&Webサイト編集スタッフ。

「SOSの猿」

 勤労感謝の日があり三連休なために本が前倒しで発売されているみたいだ。先日買った「とでんか」二巻も、今日平台に置かれていた「黒鷺死体宅配便」の十二巻も、そして伊坂幸太郎「SOSの猿」も実質の発売日は26日になっている。でも25日発売の角川文庫は置かれていなかった。どういう事だろう?


 とりあえず購入して家に帰る途中に魚屋でキャベツが一玉百円だったので買う。タコを買おうとしたらなかった。本当はお好み焼きだけど中身はキャベツとタコと天かすにしてお好み焼きだけどたこ焼きにしようと目論んでいたのだが、ないので冷蔵庫にある具材で普通のお好み焼きを作って食べた。週五ぐらいでお好み焼きを食べている気がする。


 ちなみにお好み焼きを食べても痩せないが特に太りもしない。どちらかというと便の調子がよくなったぐらいだ。キャベツを大量に摂取できるからだろうか、たぶん。まあ、走るのも週五ぐらいだからこれで太ったら凄いと思う。でも、何にもしないと比較的勝手に太るということでもあるので恐ろしい、肉体改善しないといけない。


 春まで続けたらだいぶ走りやすい気候になる、今の寒さの中で走るのは罰としか思えないが、走っている間は不思議と嫌ではない。休日に走らない方が何か不安だ。少しずつ走る行為が日常化してきているので後は結果が出るまで続けるしかない。結果よりも過程が大事だと言う事もあるが痩せるために走るのだから結果を出さなきゃ、まるで意味がない。


 「SOSの猿」を半分読んで眠くなったので二十三時過ぎまで寝て起きてさきほど読了。内容は帯に書かれていることから参照すると「ひきこもり青年の「悪魔祓い」を頼まれた男と、一瞬にして三〇〇億円の損失を出した株誤発注事件の原因を調査する男。そして、斉天大聖・孫悟空ー救いの物語をつくるのは、彼ら」とある。


 「この物語が、誰かを救う」とキャッチコピーはある。「S・O・S=Save Our Souls(or Ships)」であり、猿はまさしく孫悟空である。終始「西遊記」の物語が現実(物語上での)と絡み合って不思議な雰囲気を醸し出している。
 話は「二郎」パートと「五十嵐」パートの交互に進む。村上春樹著「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」的な形式を取っている。もちろん二つのパートは最終的には「世界の終わり〜」同様に結び合って一つの物語として結実する。


 今年だと伊坂幸太郎作品で出た新刊はこの「SOSの猿」と一つ前の「あるキング」だろう。文庫だと来月に中村義洋監督で映画化された「フィッシュストーリー」が新潮文庫で刊行される。すでに映画はDVDで出ているので作品を観て読むといかに映画が良い出来かわかる。原作の雰囲気を殺してないから。ハイジャックが制作費上かなにかの懸念でシージャックに変更されているが。


 同じく映画化された「重力ピエロ」と比べるといかに監督の力量と脚本で映像化した際に違いが出るかがはっきりする。「重力ピエロ」で見応えのあるのは渡部篤郎さん演じる「悪意」の固まりでしかない彼だけだ。
 しかしながら、「SOSの猿」を読みながらこちらに出てくる「悪意」を体現しているような人物が「重力ピエロ」における全ての原因あるいは始まりを作った彼に近い感じを受けた。


 単純に「SOSの猿」は面白かった、「あるキング」もよかった。この二作に関しては過去の作品、2010年1月30日公開予定「ゴールデンスランバー」(中村義洋、青柳雅春・堺雅人、樋口晴子・竹内結子、森田森吾・吉岡秀隆、小野一夫・劇団ひとり、凛香・貫地谷しほり、井ノ原小梅・相武紗季、鶴田亜美・ソニン、樋口伸辛・大森南朋保土ヶ谷康志・柄本明、佐々木一太郎香川照之、黒いパーカーの男・濱田岳、青柳平一・伊東四朗、金田貞義・伊藤ふみお岩崎英二郎・渋川清彦)の原作である「ゴールデンスランバー」以降に今までとは少しだけ文体の変化や作風に変化が感じられる。


 「ゴールデンスランバー」の後に出た「モダンタイムス」から以降ということになるが。たぶん、「ゴールデンスランバー」で伊坂幸太郎は第一次黄金期を終えて第二期に突入しようとしているのかなって思う。
 「ゴールデンスランバー」のハードカバーが出版されたのは07年の11月の末で、買ってすぐ読み終わった後に拍手してしまうぐらいに凄いと思った。
 その日にあった岩井俊二さんのとこの会社というか主宰しているプレイワークス飲み会を普通に寝過ごして行きそびれた。そのおかげで未だに岩井さんと会えないままだ。


 でも、その時小説の可能性をすごく感じた、でも速攻で映像化されてしまうのはなんだかなって思ったりもする。刊行されて二年少しで映像化なので文庫出すのか? 
 映像化すれば原作本は嫌でも売れるけど二年で文庫化は早すぎるけどたぶん出版するんだろう、儲かるから。「ゴールデンスランバー」に関しては中村さんなのでかなり期待できるし、成功すると思う。
 伊坂×中村だと「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」と続く三作目で、「ゴールデンスランバー」に至っては前回の「フィッシュストーリー」でのバンド・逆鱗の曲を作った斉藤和義さんが劇中の音楽を担当し主題歌は「幸福な朝食 退屈な夕食」になるらしい。

 
FISH STORY/逆鱗 【PV】


 伊坂幸太郎氏は斎藤和義「幸福な朝食 退屈な夕食」を聴いて作家になろうと思ったと語るように彼にとっては大事な曲で、斉藤和義とは共著も出している。
 「作家の伊坂幸太郎は、システムエンジニアとして会社勤めをしながら小説を書いていたが、通勤中に「幸福な朝食 退屈な夕食」を聴いてサラリーマンをやめることを決意、執筆活動に専念することにしたと語っている。のちに伊坂幸太郎の書き下ろし短編小説「アイネクライネ」をもとに、斉藤和義が「ベリーベリーストロング 〜アイネクライネ〜」を作詞作曲。」とwikiより。


VERY VERY STRONG ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜


 「モダンタイムス」も「SOSの猿」にもシステムエンジニアが出てくるがこれは伊坂氏の経験上からだろうか、中学から唯一未だに連絡取り合っている友人もシステムエンジニア=SEなのだが、彼が読む方がしっくりくるのかもしれない。僕にはイマイチシステムエンジニアという職業が把握できない、なんとなくはわかるんだけど。


 「SOSの猿」読んで思ったのは伊坂幸太郎作品に出てくる主人公の母親や父親が発する台詞にはユーモラスがあり、あとあとで響くように繋がるような発言が冒頭でされる。かなり愛情たっぷりな両親である場合が多い。
 主人公は比較的巻き込まれ型なタイプが多いが、自ら首を突っ込んで物語を展開させて行く主人公タイプは少ない。「陽気なギャングが地球を回す」シリーズの銀行強盗メンバーは自らだが。


 「春樹チルドレン」というカテゴライズの中でも伊坂幸太郎作品は大衆性があり、尚かつ人気がある。それはこの国で国民的な小説家が村上春樹である故に彼が与えた影響の大きさもある。
 彼の読者は比較的「春樹チルドレン」の筆頭である伊坂幸太郎本多孝好金城一紀を受け入れる土壌がある事も伊坂幸太郎が大人気作家になりえた原因であるのかもしれない。原因と結果は「SOSの猿」の中で何度も言及される。


 他にも古川日出男荒木スミシの両氏もそのカテゴライズに入るはずだ。二人ともかつて「中国行きのスロウ・ボートRMX」「ダンス・ダンス・ダンスRMX」とオマージュ作品を同時に出していた。古川さんは村上さんとは真逆に違う可能性を模索していくタイプの作風なので伊坂さんの本のような大衆性はないと思う。僕はもろに影響を受けているが。
 鋭角過ぎてというのと独自な文体とマジメにふざけている内容はやっぱり「古川文学」と形容されるように今までになかったタイプなのでいきなりだと面食らうか評価できない、飲み込めない人が多い気はする。


 今までなかったものに人は出会うと評価基準がないので困る。あるいはなかったものとして評価できない。という辺りは「文化系トークラジオ Life」の「Life@むさび 「平凡コンプレックス」の中でトークされていた。


Life@むさび 「平凡コンプレックス」Part1
Life@むさび 「平凡コンプレックス」Part2
Life@むさび 「平凡コンプレックス」Part3
Life@むさび 「平凡コンプレックス」Part4
Life@むさび 「平凡コンプレックス」Part5


 人に小説でオススメを聞かれたら伊坂幸太郎作品の何作かを言う。で読んだ人や貸した人はたいてい伊坂幸太郎作品にハマって行くのを何人も知っている。が古川さんは中々勧められない、その人に合うかどうか一瞬迷う。


 〈快快〉『ファイファイ』(ΦΦ)(ふぁいふぁい) faifai'sチームリーダー!YON-KITAGAWA:blog!!!LOVE SUCKS BIG TIME!!!!!!!!!「水野さんおもろい○」
 ↑池袋で水野美紀vsゴリラって面白すぎるよ、この画。ゴリラのワークショップ参加者募集も面白そうだな。


「新世紀のラブソング」-ASIAN KUNG-FU GENERATION

 ↑スペシャが奇跡的に「新世紀のラブソング」というタイトルを「新世界のラブソング」と間違えている。ケアレスミスだね。

SOSの猿

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新世紀のラブソング(初回生産限定盤)(DVD付)

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