中村義洋監督、伊坂幸太郎原作、斎藤和義音楽「フィッシュストーリー」を渋谷のシネクイントに観に行く。公開二日目でわりと満員。
伊坂幸太郎作品は刊行されている本はとりあえず読んでるし買っててファンだと言えるし、アンソロジー系に収録されているのもある程度は読んでる。「アヒルと鴨のコインロッカー」の映画化で心配してたけど観てよかったと思えていたので「フィッシュストーリー」の監督も同じで中村さんって聞いてて期待していた、まあ伊坂さんも信頼して託したこの作品。
売れなかった逆燐(ゲキリン)と言うバンドが残した「フィッシュストーリー」という曲が時代を超えて世界を救うと言う話だ。原作は発売当時に読んでていて伊坂作品らしいものを感じていたが、この映画化にあたってはまずシナリオが素晴らしいと思った。映画化で細部の変更があるが原作よりも伊坂幸太郎の匂いがするものになっている。これと真逆で失敗してたのが「陽気なギャングが地球を回す」だった。
彗星が地球に爆発する5時間前から物語が展開し、「世界の車窓から」でお馴染みの石丸謙二郎さんが誰もいない街を電動車いすで走っているととあるレコード屋から音楽が流れてくる。そこに入ると店主(大森南朋)と一人の客がいる。店主がかけた逆燐の最後のアルバムから時代は遡り、「フィッシュストーリー」の前半の一分間の空白の無音部分がきっかけで出会う男女の物語に、彼ら逆燐のセックスピストルズがデビューする一年前に、シージャックされた船に、彗星を爆発しようと飛び立った五人に時間軸が交互し、関係のないようなことが実は密かに繋がっていることが次第に明らかになってくる。
「正義の味方」だったり「呪いのテープ」などのキーワード。人物の相関図がしだいにわかるような作り方になっている。いい意味で原作の連作短編集がひとつの物語として再構築されている。
記憶だと確かハイジャックされたはずだったが、映画ではシージャックになっている。原作を読んでハイジャックされて「正義の味方」が活躍するんだけど、あの狭い飛行機の中ではムリだろうと思ってたけど船ならありだと観ながら思った。「正義の味方」は原作では筋肉隆々のイメージだったが森山未來のコックが観ていくとすんなりと受け入れられた。
「アヒルと鴨のコインロッカー」からある意味連投の濱田岳はベストキャスティングに見える、伊坂作品に合っているとしか思えない。
南朋さんはレコード屋の時は山田孝之が年とったらこんな風になるんじゃないかって思えるぐらいになんか似てる、やっぱり南朋さんはいいわあ、「ハゲタカ」の鷲津として映画主演もするのだが脇役で渋いしおいしい。
逆燐のメンバーのチビノリダーだった伊藤君も、「カミュなんて知らない」の高良健吾も、ギターの人は本物のミュージシャンみたいだいし、昔はKEEって名乗ってた渋川清彦もよかった、違和感なかった。
FISH STORY/逆鱗 【PV】
山下敦弘監督と脚本家の向井さんが地味に出てた。
女子高生役の多部未華子は可愛いんだけどなんかどこかに残念な感じがあって普通な感じだ。どうでもいいけど石丸謙二郎さんと池乃めだかさんを足して二で割るとうちの親父だ、背はめだかさんと変わらないが。
映画としては面白かった。原作知らない方がもっと楽しめたかもしれない。シナリオがすごく丁寧に練られている感じがした。このぐらいに予告でもしていた伊坂作品代表作「重力ピエロ」も仕上がっているといい。
予告で何度観ても兄の泉役の加瀬亮がアジカンのゴッチにしか見えない。あとお父さん役が小日向さんなのだが若い頃を演じる時に髪があるからヅラかぶっててどうも笑いそうになってしまう。
「重力ピエロ」の監督は「ランドリー」の人みたいだからかなり優しい物語と演出にしてそうだと勝手に思っている。伊坂作品ほとんど映像化権利買われているらしいけど「ゴールデンスランバー」とか映像化できるのか?
「グラスホッパー」とか「終末のフール」はできそうだけど、デビュー作「オーデュボンの祈り」とかは連ドラに向きそうだ。
「フィッシュストーリー」は100点中90点です、僕的には。劇場から出たら初めてぴあの満足調査にひっかりましてそう答えました。四月二日とか発売のやつとかで何位かでるみたい。
本当ならもうちょい上ですけど今年最初に観たのが園子温監督「愛のむきだし」だったのであれが100点です。そこからの基準になるので。一発目に観たのがほぼ今年のナンバーワン作品なのはある意味不幸です。
とりあえずこれから観たいのは「花の生涯-梅蘭芳-」「おっぱいバレー」「エヴァ・破」「エウレカセブン」「20世紀少年ラスト」「重力ピエロ」「ハゲタカ」「スラムドッグ$ミリオネア」とか。
そういえば、「ドニー・ダーコ」の続編というか妹がニューヨークかどっかに行った話を製作するって話をかなり前に聞いたけどどうなったんだろう、あの映画好きなんだよな。「ゴーストワールド」も好きだけど。アメリカ映画で一番好きなのは「グーニーズ」で譲れないけど。
「時をかける少女」の実写のリメイクもするみたいでエキストラ募集してた、アニメがよかっただけにどうなるか。
山下さん新作撮らないのか? 気になる。
朝起きたら専門の友人からメールが来てた。今日生まれるかもって、そうベイビーが。付き合いは専門からだから七年とかだけどもう親父になるっていうのも時間の流れを感じる。明日生まれたら僕と同じだったんだけど今日の夕方過ぎには誕生、おめでとう!
で、誕生日辞典で3月21日生まれを調べたらその日生まれの有名な人が大バッハ、アイルトン・セナ、ゲーリー・オールドマン、ロナウジーニョ、江國香織とか天才肌の人ばっかりだった。僕の日なんかパントマイムの巨匠のマルセル・マルソーぐらいなのに。
いやあ、周りが家族を築いていくのは本当にミスチルの「花 -Memento Mori-」の歌詞みたいな気持ち。中学で唯一連絡してる友達にも二人目が生まれるし、一人目が小学生になる頃にはなんとかやりたいことで金を稼げるようになっていたい。と思ったらすぐじゃんっていう事実。
とりあえず僕も「フィッシュストーリー」を書き続けようと思うわけで。映画観る前にパルコ地下のリブロでヒアホン立ち読みしてたんだけど、金ないから今度買おうと思ったままでようやく実物を見た。
charlieこと鈴木謙介さんのラッドウィンプスの新譜「アルトコロニーの定理」についてのレビューを読んでた。まだCDを聴いていないのだけど読んでて思った、この前四月に出る本に載るかどうかはわからんが雑誌の記事書いて編集の人に送ってどうなるか待ってるんだけど僕は論考ってことは向いてないらしい、難しいもん。
やっぱり物語を書く方が合ってる、書いて他の人が読んでいろんな解釈して、「ああ、そういうふうにとらえるんだ」とか思うぐらいがいいや、論考とかそういう能力もないし、訓練もしてないから難しい。charlieのレビュー読みながら物語を書こうと改めて思えた。
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