Spiral Fiction Note’s diary

ライター&「monokaki」編集部スタッフ。「水道橋博士のメルマ旬報」で「碇のむきだし」、「週刊ポスト」で「予告編妄想かわら版」、「PLANETS」で「ユートピアの終焉ーーあだち充と戦後日本の青春」を連載中です。

『ビブリア古書堂の事件手帖』


 メディアワークス文庫三上延さんが書いた『ビブリア古書堂の事件手帖』の映画化。栞子を黒木華が演じた時点で勝ち、というか企画は成功したのではないかと思わなくもない。
 文庫一巻で書かれたものをうまく二時間にまとめている印象。祖母に怒られたことで活字恐怖症になった大輔を演じた野村周平もよい、小説ではもっとガタイのいいアメフトとかやってそうな長身のイメージだったが、黒木華とのバランスもよかったと思う。
 大輔の祖母の若い頃の絹子を演じた夏帆がかなりいい、色気もあるけど庶民的な感じもあり、彼女の秘めた恋がすべての発端ではあるし、現代に続く事件に繋がっているわけだが。ただ、文庫の最新刊を見ると主人公のふたりのその後を考えると絹子の残した本が彼らを結びつけるわけになるのだから、この作品がヒットするとシリーズで映画化していくのかもな、って思う。
 キーマンである稲垣を演じた成田凌が悪いわけではないが、なにせ登場人物が少ないせいでミステリー的な要素も早々にわかる人にはわかってしまう、声とかさ、でも、大事なのはそこではないのだろうが。
 大輔と稲垣というふたりの男と本のことになったら話すのが止まらない栞子という現代の三角形を形成するのが、過去の絹子と田中(東出昌大)の関係というのはいいなと思う。